きみ越しの世界

Princessやってます。

プロフィールだけで恋に落ちかけた話

私が10歳くらいの時、祖母に連れられて近くの男子高校の吹奏楽部の演奏会を見に行ったことがあった。吹奏楽部や音楽部(合唱部)に所属したことがある人はわかると思うが、演奏会の受付で生徒お手製のプログラム冊子が配布される。そこには演奏する曲目の説明や、校長・顧問・部長や演奏会実行委員の言葉、そして各パートの紹介文などが載っている。

パート紹介を熟読してしまう

まったく知り合いがいない演奏会でもパート紹介を一人ひとり熟読してしまう癖がある私。そこに活字があったから!という勢いで開演前にプロフィールをざっと読んだ。そこで目に留まった1人の生徒かいた。

男子校吹奏楽部という集団の中でフルートという非常に優雅な楽器を担当する田中くんという2年生だった。プロフィールには白黒の不鮮明な写真と部内、パート内での役割やキャラクター、どんな人なのかを1年生の後輩が紹介していた。

名前で呼んでほしい

そこには確かにそう書かれていた。高校2年生の男子が、しかも男子校で下の名前で呼ぶことを周りにお願いするってなんだよ!かわいすぎるだろ?
10歳の私にかわいいと思われる田中くん。あえての名字呼びです。
田中という有り触れた名字が好きでないため…という理由で、それは痛いほど分かる。私も有り触れた名字を持っているから。でも、男子校内で名前で呼んでほしい!と言っている男子かわいい!

もちろんそれだけではない

一番印象に残っているのは名前で呼んでエピソードだけれど、他にも私の心を揺らすポイントがあった。
先ほどさらっと書いたが、フルートパートだということも理由に上がる。そもそも吹奏楽部が男子校にあるというのも衝撃で、音楽は女の子が絶対に多いと思っていた。しかもフルートなんてお嬢様がやる楽器だよ?って。そしてお嬢様ではない私か一番憧れていたのがフルートだった。完全なるイメージの話だけど、フルートやってる人って顔整ってる感じしません?不鮮明な写真を目を細めて見てみると、何となくイケメンなような気さえしてくる。

それから、彼は学年指揮者という役割を担っていた。簡単に言えば、学年に1人いる代表指揮者ってこと。顧問や指導者の先生が指揮を振るのが基本だけれど、たまに先生の都合がつかない時に生徒だけで合奏する。その時に活躍する。これまた私のイメージ論ではあるけれど、部長や副部長といった役職に選ばれることって本当にすごいし、大変な役回りだと思う。でも指揮者っていうのは音楽的なセンス、技術的なものが求められる気がする。リズム感ないと指揮出来ないじゃないですか?そう考えたとき、この人音楽性かある方なんだ、と。

それから頭の良い人、成績上位者の天才!と書かれているのを見て、この人すごいと思った。その高校は県内でも有名な進学校で入りたくても入れない人がたくさんいる偏差値の高い学校として知られている。その中で頭がいい、成績上位って…

たった数行のプロフィールからたくさんの想像を膨らませて田中くんが大好きになった。あの演奏会の2時間ほどの時間、田中くんだと思われるフルートパートの高校生を夢中で見ていた10歳の私。

そんな簡単に恋に落ちなくなった私は、今日も恋人が出来るか?結婚出来るか?と心配に思う気持ちを心の片隅に、ジャニーズに熱をあげているのです。



※部屋を探してみた所、そのプログラム冊子が見つかった。ページをめくってみたがどう見ても田中くんはイケメンではなかった。思い出は美化されるもの。